マンション管理の要、設備の点検。効率化の鍵は監視システムにあり
マンション管理において、設備の点検は欠かせない業務の一つです。エレベーターや給排水設備、電気系統など、マンションの機能を維持するための重要なインフラを定期的にチェックし、不具合を早期に発見・対処することが、管理会社に求められる重要な役割です。
しかし、設備の点検は、専門知識を要する上に時間と手間がかかるのが悩ましいところ。特に、管理物件が多数に上る場合、点検のための人員確保や日程調整に頭を悩ませている管理会社も少なくないでしょう。加えて、入居者の高齢化が進む中、設備トラブルへの即応性がより一層求められるようになっており、点検業務のあり方を見直す必要に迫られているのが実情です。
こうした中、注目されているのが監視システムの活用です。センサーやカメラを駆使して設備の稼働状況を常時モニタリングし、異常があればリアルタイムで管理会社に通知する仕組みを導入することで、点検業務の大幅な効率化が可能になります。
例えば、エレベーターの昇降回数や扉の開閉状況、異音の有無などをセンサーで検知し、基準値から外れた場合に自動で警告を発するシステムを設置すれば、日々の点検の手間を大きく省くことができるでしょう。また、給排水設備の水圧や水質、漏水の兆候などを常時監視することで、設備トラブルの予兆を早期に把握し、未然に防ぐことも可能になります。
監視システムは、点検業務の効率化だけでなく、入居者の安全・安心の向上にも直結します。マンションのセキュリティ対策として、不審者の侵入や不法投棄などを監視カメラで常時チェックすることで、犯罪抑止や早期対応が可能になります。また、高齢者の見守りサービスとして、部屋内の動きを感知するセンサーを設置し、一定時間反応がない場合に管理会社や家族に通報する仕組みを導入するケースも増えています。
監視システム導入のポイントは「使いやすさ」と「コストパフォーマンス」
とはいえ、監視システムを導入する際には、いくつか留意すべき点があります。特に重要なのが、「使いやすさ」と「コストパフォーマンス」の2点です。
監視システムは、高機能であればあるほど、操作が複雑になり、管理会社の担当者が使いこなせない、といった本末転倒な事態を招きかねません。導入に当たっては、現場の担当者の目線に立ち、シンプルで直感的な操作性を備えたシステムを選ぶことが肝要です。
加えて、導入や運用にかかるコストも見極める必要があります。高額な初期投資を要するシステムでは、管理組合の理解を得るのが難しいケースも。管理費や修繕積立金とのバランスを考えつつ、長期的な視点でコストメリットが出るシステムを選定することが求められます。
この点で、近年注目を集めているのが、クラウド型の監視システムです。機器の設置や保守を含めたトータルのサービスを、月額制で提供するサブスクリプション型のサービスを活用することで、初期コストを抑えつつ、常に最新の機能を利用できるメリットがあります。
マンション管理におけるIT活用は、今や避けて通れない大きな潮流となっています。設備の点検業務においても、監視システムの導入により、大幅な効率化と付加価値の向上が期待できるでしょう。管理会社には、自社の業務特性を踏まえつつ、最適なシステムを選択し、導入していくことが求められます。ITの力を上手に取り入れ、入居者の満足度を高めていくことが、これからのマンション管理の鍵を握っているのです。
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